第一試合目はWBA世界フライ級タイトルマッチ、王者ユーリ阿久井政悟選手対挑戦者桑原拓選手。ユーリ選手は前回世界王者獲得からの初防衛戦、桑原選手は過去ユーリ選手と戦い敗れてしまった経歴アリのリベンジ戦、両者二度目の対戦という組み合わせ。開幕から互いにパンチを出し合う展開、前回の試合でも際立っていたユーリ選手の真っすぐの軌道に対して、リングを回りながら外から叩いていく桑原選手。第2ラウンドからはユーリ選手の左が当たり出し、それもあってか右のヒット率も目立つように。手数もスピードも桑原選手があるようにも見えるが、相手の前進の圧もあってか、どうしても遠い距離からのガードの上、という場面も多く、それも含めてユーリ選手の冷静さも光る。そのままペースを掴むかと思いきや、中盤以降も桑原選手がスピードを活かし、終盤はユーリ選手がより一層プレッシャーを強めての一進一退の攻防。結果はユーリ選手の判定勝利となりました。ユーリ選手の掛け続けた圧力、特に効果的だった左ジャブからの展開、桑原選手のヘッドスリップ等の技術力や連打の回転力、フルラウンドまで動き戦い抜いた両者のスタミナ。互いに持ち味を発揮した素晴らしい試合だったと思います。
第二試合目はWBA世界バンタム級タイトルマッチ、王者井上拓真選手対挑戦者石田匠選手。井上選手は前回見事なKO勝利からの二度目の世界防衛戦、石田選手は6年半振り二度目の世界挑戦、という組み合わせ。見るからに石田選手の体格が目立ち、開幕は互いに左の突き合い、からの第1ラウンドから石田選手の左ジャブでダウン奪取という立ち上がり。リーチで分がある石田選手側が前に出るという展開となり、井上選手も中距離でジャブを出しながら近付いてアッパーなど距離感の対応を見せる、引き続き両者手の探り合い。そこからはワンツーが主軸の石田選手に対し前後左右多彩な攻めを見せる井上選手。終盤にかけては接近戦も繰り広げられ、結果は井上選手の判定勝利となりました。井上選手は手数と頭を跳ねさせた数、相手のクセも見ての攻めのレパートリーの多彩さ、石田選手も効果的だった左ジャブ、攻めのバリエーションこそ多くなかれど自身の武器を磨き上げたワンツー、とてもハイレベルな技術戦で見応えのある試合だったと思います。
第三試合目はWBO世界バンタム級タイトルマッチ、王者ジェイソン・モロニー選手対挑戦者武居由樹選手。モロニー選手は先日のロドリゲス選手と同じく井上尚弥選手との戦歴を持つモロニー兄弟のお兄ちゃん、武居選手はここまで8戦全勝KO率100％世界初挑戦。武居選手のパワーが世界王者相手に響くのか、それともモロニー選手がテクニックで対応するのか。開幕は両者ジャブの差し合い、武居選手の持ち味である長い距離からの左ボディも織り交ぜながら、比較的慎重な立ち上がり。ローブローでの減点もありながらも引き続き遠い距離からパワーで押し込み相手に手を出させない。それ以降も武居選手が主導権を握り、対してのモロニー選手も中盤から前に出ていく展開。終盤入っては流石の対応力、モロニー選手がやや戦況を盛り返したものの、武居選手の間合いにどうしても手数を出せず。結果は武居選手の判定勝利となりました。最終ラウンドの内容は冷や冷やでしたが、試合通して武居選手がペースを握り、相手に思うような動きをさせなかった結果だったと思います。モロニー選手も打たれながらも相手を追い詰める場面があったり、ワンパンチKOの破壊力を持つ打撃をフルラウンドダウンせずに耐えた根性も凄まじかったです。K-1に次いでのボクシング新世界王者誕生！おめでとうございます！
これにて”バンタム級世界王者四団体日本人四選手”となったということで、わたくし”世界バンタム級四団体統一トーナメント”開催を勝手ながら期待しております！同国のジムというのもあって交渉はまあ…そのような周囲の雰囲気になれば事はスムーズに運ぶでしょう！たぶん！全三試合で！ぜひ実現を！
メイン。
ロドリゲス選手やドネア選手に次いでの打ち合いの試合展開予想、それこそ試合前から不特定多数の方々が仰られていた、もしもの懸念点として接近戦での回転力そして独特な軌道からのフック。密着状態から見えない角度の？左がヒット。しかしそれから起き上がっての冷静さ、ドネア一戦目にもあった一時追い込まれて劣勢状況からの恐ろしいほどのうきうきタイムも発揮。ボディの蓄積もあってか動きの落ちたところを上へ下へ打ち分けKOラウンドまでの展開は圧巻の一言。
こういう考えは失礼かもしれませんが、試合が成立した時点でやったもん勝ちの結果のようなものなので、自分の感情としてはそれ以上も以下もなし。次戦はアフマダリエフ戦？という噂もちらほら聞いていましたが、試合後をみるに次戦はグッドマン戦？となりそうですね。本日も中継ありがとうございました。
