てなもんで”バイオハザードRE3”一口感想タァイムとさせていただきます。
↶ネタバレクイックターン↷
・まずはじめに保険言っておきたいこと。
元ある作品の解像度を上げたり快適性を上げたりするのはリマスターの部類であって、”リメイク作品”においての持論としては、元あるブランドを用いての作品なのだから期待値が上がってしまうのは必然、という考え。そもそも”リメイクされる作品”というのは元から知名度も評判も高い作品であり、ゆえに重箱の隅を突くような具合で元と今を比較対象としてみなしてしまうのは抗いようのない衝動である。
今回の話でいえば、自分はPS1版3をある程度プレイしていたからこそ、どうしてもそのフィルタを通しての受け止め方になってしまうし、原作をプレイしていない方ならまた違った意見になるのも道理。同系列シリーズ作品例として、原作の2をやりこんだ方々にすればRE2の評価も変わるだろうし、4↔RE4も(自分はRE4はプレイしていないが)同様の事例となるだろう。つまりは”色々思うところがあるけれど許してね”というおはなしである。
・とにかく削りすぎ?
道中思うところはこれまでに手記レポートとして置いてきたので割愛するが、あっ場面が進んだ…ってアレは?→場面が進んだ…ってアレは?→場面が→といった繰り返しの印象が強く、いわゆるボス戦に関してもネメシスの形態一本化、各種マップもあっさり目の構成が多く建物外など広さを感じられるマップであっても通行一本道の傾向。原作にあった三つの宝石扉や市長印のバッテリーや病院内などの謎ギミック諸々はアレンジされたり無くなったりしたものの、同時に伝統のぐるぐる要素もがっつり減り、探索という意味ではスケールダウンしてしまっている印象を受けた。
この”ぐるぐる要素”に関しては個人的に好きな部分であり、それこそ当時の容量問題においての”一つのマップを最大限使いまわそう”という部分から始まった要素だと思っていて。開幕当初は探索範囲がせまく、フラグアイテムをマップ内に散らばせ取りに行かせる、通路の往復を繰り返してはフラグを消化しながら徐々に探索範囲を広げていく。ギミック自体のツッコミ所はおいといて、弾薬草インベントリ管理含め往復のたびにいつ敵が来るかまた新しい敵が湧いてくるか、あっちかこっちか手探りの探索感にも繋がり、この”徐々に探索範囲が広がっていく”要素は成果の実感としてもシンプルに面白いものだと感じる。
この”ぐるぐる”が肌に合わん!という意見も承知の上。だがそれこそアクションに寄せた4前、ベロニカまではそのぐるぐるを楽しむ作品だとも思うので(ベロニカはまあ移動演出時間さえ減ってくれれば)だからこそ3のリメイクとしてもぐるぐるがもっと欲しかった、といった心境である。原作第二形態に関してはもはや何もいうまい。
・登場キャラクターについて。
リメイクされた容姿は好みの問題もあるし慣れたので別にいいのだが、内面に関してはなんだか全体的に小綺麗にされた感覚はあった。カルロスタイレルブラッドのまっすぐ熱血漢化ニコライの不死身感見たまま懐疑キャラ化など、良くも悪くもうさんくささや癖が抜けてしまったというか。実際のキャラ描写としては頼りになれる存在ではあるが、各キャラの内に秘める一面という個性を塗りつぶしてもいるのでは?といった部分も否めなかった。
・追跡者について。
原作では様々な場所で現れては追いかけっこをする、というベースがあったが、こちらもちょいと様変わり。今作で実際に追いかけっこをするのは一部分のマップのみで、あとは一本道チェックポイント風パート、そして早々に四足形態変化して追跡はフェードアウト。追跡者は3の象徴でもあるので少し寂しい気持ちもあったが、よくよく考えてみると仕方のない面も感じられた。
まず、”追跡という面ではRE2のタイラントでやってしまった”という点。そこにRE3のネメシス>>>プレイヤーという移動速度の差を考慮してのネメシスの”走る”という要素も加えてしまうと、ただ一方的に追いつかれて後ろから殴られるだけの繰り返し、それはそれで追いかけっこどころではなくなる。そのまま道幅のせまい建物内等で実装してしまえば、ネメシスを尻目に探索しながら一定時間毎に緊急回避を強要される音ゲーが始まってしまう。
ではあるのだが、ダウンタウン内の追いかけっこパートにおいてはそのダッシュ速度接近を目にして”ウヒィイィィ!”と思わず唸ったし、追われる恐怖という部分は確かに感じられた。そもそも狭い屋内で追われる(逃げ場が少ない)といったパートもこれといってなかったのだが、屋内通常パートでももう少し小出しのドッキリ感があればよかったのかな、とも思った。遭遇時大抵は見通しのよいマップで”今からいくぞ~”といったお膳立てシーン意図的な足止めトラップも活用可能、QTEも筋書きパートゆえに恐怖感はどうしても薄れてしまう。通常操作パートにおいて突然窓を割って侵入してきたり柵を律儀に開けるのではなくて一気に飛び越えて背後に回ってくるなど、プレイヤーの瞬時な判断力が試されるような場面に応じての”細かな追い詰め方による恐怖”がもっとあればよかったと思った。
・ボリュームについて。
原作と比べてもやや寂しくなった印象がある。そもそも原作の3自体、元は外伝作品として制作されていたようなので、本筋のボリューム自体は控え目ではあった。だがそのぶん敵ギミックアイテムのランダム化、ライブセレクション、細かなルートイベント、そしてマーシナリーズが実装されていた。ボリュームを補う策として好みは分かれるかもしれないが、これらも追跡者同様3の象徴的なシステムなので、それらがなくなってしまったのはやはり寂しい。自分は当初、本編クリアしたらランダム化ONOFF機能追加されるのかな?とかQTEがライブセレクションの役割なのかな?とも思っていたが、おそらくなし。先述の細かなルートイベントに関しては、Aの道を通ったら別の場所のイベントへ影響したりBを通ったらまた違ったNPCと出会ったり…といったものなのだが、それらもおそらくなし。元のボリュームが控えめ、といった作品のリメイクといった点でもそこから更に削除された原作要素が目に付きすぎて、やはり寂しい、といった印象だった。高難易度に関しては…なんだか恐ろしそうなので目を反らし、贅沢を言わせてもらえば原作マーシナリーズの三人のストーリー編もあったら嬉しかった。
・良かった点。
やはりREグラフィックは凄まじい。新たに作り上げた美麗な街並みや追跡者もその迫力を増した。マップでいえば多少のあれこれはおいといてRE2に繋がる警察署パート、病院パートも雰囲気はあったし、アクション要素が増したTPS部分、緊急回避→ショットの気持ちよさは十分にあり、引き続きREシステム面に対しては文句の付けようはなし。ボリュームはやや控えめ、といった点も完全なる短所とはなり得ず、アクション作品としての”周回のお手軽さ”にも繋がるため、そういった意味では加えてもいいのかなと。
というか自分、だいぶお好みな部分が”REのインベントリUI面”と感じていまして。パッと見で分かりやすく、簡潔でいて安っぽさもなくレスポンスも上々、カーソルやアイテム入手時、組み合わせ時の各種SE、派手さはないものの手触りとしてのクオリティの高さ、あらためてお好みな部分であります。
・以上です。
RETPS作品の良さは折り紙付き、なかなかに骨が折れるパートもあり楽しめました。ありがとうございました。