※敬称略失礼し申す※
世界バンタム級四団体統一戦井上対バトラー、終盤11ラウンド井上の猛攻によりKO勝利、史上9人目の同一階級四団体統一王者達成。それに加えて”正規王者四名から一本ずつベルト奪取”と”その全試合KO勝利”に関してはそれぞれ史上初という、ご存知の名実とともに競技記録的な意味でも、階級ナンバーワン選手として証明されました。
井上本人も試合前に”長引く想定”と発言していた通り、試合開始からバトラーはひたすらガードを固めて後ろに下がり続けるような動きをとっていました。これは陣営側の元々のプラン通りだったのか、想定以上の井上の圧を受けそう立ち回るしかなかったのかは分かりませんが、ポイントのことを見越すならそろそろ…というラウンドに突入してからも防戦一方に見えていたので、ここばかりは井上の実力が際立っていた、ということなのでしょう。ポイントでは巻き返せない終盤に近付く頃には相手スタミナの落ち際も期待していたのかもしれませんが、井上は初回から10ラウンドまでバトラーを追い続けパンチを振り続けていたのにも関わらず、11ラウンド開始時ここから更にギアを上げ、ロープに追い込んでボディクリーンヒット、試合の決着となりました。
正直自分としては、前回の試合後から”残りは四団体統一”という目標が定まった時点で、スムーズに事が運べばいいけどなあ→決定→こんなにすんなり統一戦が決まるんか!?本当か!?と半分驚きで感じていました。井上が近々階級を上げると発言していたり、競技年齢的なものもあって、現ベルト保持側が何かしらの理由を付けて直接対戦を避けたり、話をうやむやにして期間を稼ぎそのまま自然消滅させるような抜け道を通る可能性も有り得たケースだったと思います。
ですが、そんな浅知恵なことを考えてしまったことが失礼だったと思うくらい、バトラー側からも意欲的に統一戦試合成立を締結。各メディアや下馬評ではバトラー側に対しても色々な意見が交わされていましたが、自分としてはんなもんどうでもいいし、そんなことは試合が始まってからじゃないと分からないし、兎にも角にもまずはバトラーに対して敬意を表したい気持ちです。会見の場やPV映像などで見る限りではとても紳士的な方と見受けられ、互いに互いをリスペクトし、試合に臨むうえでも気持ちのいい、恰好良い選手だと感じました。試合中の戦法についても防御主体気味ではありましたが、それらもなんとか勝機を探っていく上での戦法だったと思いますし、このコンディションの井上相手に長期戦に持ち込んだテクニック、手数自体は少なかったものの鋭いコンビネーション、断固として挑発には乗らない(乗れない?)ような部分含め、個人的にその徹底した試合運びは刮目すべき点だったと思います。
この試合は井上のバンタム級総決算ということで、最後の最後までパワースピードテクニック、非凡所しかないパフォーマンスを見せてくれました。以後計画通りに階級を上げるみたいですが、階級の壁に対してはどうなっていくのか…業界の評判ではとてもいい感じに期待されていたり、当人も日頃から何階級も上の選手とスパーをしているみたいですが、本番のリングに向けて実際に身体をつくってからのその階級の選手相手に………って当人も下の階級から上げてきた選手ですし、素人ごときがうだうだ懸念するのも失礼な話ですね。
スーパーバンタム級は現在、四本の世界ベルトの内、フルトンとアフマダリエフがそれぞれ二本ずつ所持。前々から話題にあがっていたフルトンは階級を上げるみたいなので、試合が実現するのには何らかのことが必要かも、アフマダリエフは過去のインタビュー記事で目標は四団体統一、井上とも戦っていたいとも発言しているので、早計な話になってしまいますが、可能性としてはアフマダリエフ戦のほうが高いでしょうか。
ということで。井上選手四団体統一王者おめでとうございます!今後の活躍も期待です!